芝居屋さんプロデュース　　『トーフの心臓』　（収録／劇集成Ⅱ）

●演出　黒澤隆幸

――これを友情とは呼ばない　火のようなタンゴがひびく――

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（当日パンフレットより）

手を添えたい

　昨年の夏にくじら企画の後藤小寿枝から大竹野作品をやらないかという連絡を受けた。私は大竹野の劇集成の本をペラペラ覗き見した。重い！とてもできない。そのうち、私の芝居の先輩黒沢隆幸から「話がある。時間を取ってほしい」というメール。私は黒沢に電話した。私は電話口で「大竹野の芝居のことやね」。黒澤、「ああ、そうや」。　　　

　演出の黒澤は、大竹野作品の上演候補として、『トーフの心臓』ともう１作品を挙げ、どちらにするか私に訊いた。私は、『トーフの心臓』の方がひろがりがあっていいと答えた。

　後藤から誘われた話。大竹野作品をするということは、私にとって罪滅ぼし。私は十歳年下の大竹野をみくびっていた。ケイコを進めるうちにそれが思い知らされる。彼は人を見通してしまう。そして、私の方は全く彼を知ることがなかったようだ。あれほどよく酒を交わし話したくせに。今回の舞台を通して、わずかにでも大竹野の体温に手を添えたい。彼は生きている。

　９３年２月、扇町ミュージアムで私は『トーフの心臓』を見た。大竹野正典は３３歳にもならず、この作品を書いた。それを驚く。

　　　　　　　　　　　　　　　　　芝居屋さんプロデュース

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

生前大竹野氏と初期の今村昌平監督の重喜劇で括られる作品について話したことがありました。

今回の芝居を大竹野正典にささげます。　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　演出・黒澤隆幸

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

●出演　田口哲　岡田怜奈　村尾オサム　笠嶋千恵美　戎屋海老　竜崎だいち　小室千恵　条あけみ　オットー高岡　小畑香奈恵　秋月雁　逢坂太郎

2019年10月4日(金)～6日(日)　会場：浄土宗應典院本堂　

※公演は無事終了いたしました。

2019.09